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OSDL ニュースレター - 2002 年 7 月

目次:

  1. プロジェクトコーナー
  2. OSDL、LinuxWorld に出展
  3. キャリアグレード Linux Technical Scope White Paper を公開
  4. キャリアグレード Linux Requirements Definition V0.5 を公開
  5. 開発者向けサイトを開設
  6. STP の新しい Patch Lifecycle Manager(PLM)
  7. キャリアグレード Linux Validation Framework V0.5 を公開
  8. OSDL のキャリアグレード Linux ロードマップ・コーディネータを迎える
  9. Witham の言葉

1. プロジェクトコーナー

Vovida.org は、OSDL のリソースを使用して、Vovida Open Communication Application Library(VOCAL)を検証しました。VOCAL は、VoIP のマーケットでの採用を促進することを目的としたオープンソースプロジェクトです。VOCAL は、VoIP の機能、アプリケーションおよびサービスを新規に開発するために必要なソフトウェアとツールを開発コミュニティに提供します。VOCAL を構成するソフトウェアには、SIP ベースのリダイレクトサーバ、フィーチャーサーバ、プロビジョニングサーバ、Marshal Proxy などがあります。

Vovida は、OSDL と共同で、VOCAL が gcc 2.96 を使用して Intel Itanium(tm)システム上でビルドできるようにしました。その後、このチームは 16 プロセッサ搭載の大規模な Intel Itanium システム上で基本的な SIP シグナリングを検証しました。この検証によって、マルチスレッディングに伴ういくつかの重大なバグが明らかとなり、そうしたバグをなくすことが可能となりました。

VOCAL についての詳細は、www.vovida.org をご覧ください。Vovida が OSDL と共同で達成した成果およびその際に使用されたハードウェアについての情報は、OSDL のウェブサイト www.osdl.org でご覧になることができます。

2. OSDL、LinuxWorld に出展

OSDL は、8 月 13〜15 日にサンフランシスコで開催される LinuxWorld の .org Pavilion に出展いたします。ぜひブースにお立ち寄りいただき、OSDL のリソースを利用しているキャリアグレード Linux ワーキンググループ、STP、各プロジェクトの最新ニュースをはじめ、OSDL が進めている重要な作業状況をご覧ください。

また、以下のセッションで、OSDL および OSDL が行っている作業について詳しく知ることができます。

キャリアグレード Linux の定義
2002 年 8 月 13 日(火)
12:45〜14:00(現地時間)

このテクニカルセッションでは、ワーキンググループが現在までに達成した業績を紹介し、キャリアグレードの可用性を実現するために Linux ベースのシステムをどのように構築するかについて、聴衆の皆さんと意見や考えを交換します。

データセンター向け Linux ロードマップ
2002 年 8 月 14 日(水)
10:30〜11:45(現地時間)

ミッションクリティカルな機能を Linux に導入するために、OSDL のデータセンターワーキンググループによって策定された Linux のロードマップについて、それが企業の IT 組織にとってどのような意味合いを持つのかを含め、OSDL のラボディレクタである Timothy Witham が説明します。

OSDL キャリアグレード Linux テクニカルワーキンググループとの出会い
(Birds of a Feather セッション)
2002 年 8 月 14 日(水)
18:00〜19:30(現地時間)
ルーム 114

キャリアグレード Linux Requirements Definitions V0.5 を読み、それについて担当のワーキンググループと議論したり、ワーキンググループが Linux 向けに定義している機能強化についてさらに知りたい方は、OSDL の BoF(Birds of a Feather Session)をお見逃しなく!

ジャーナリング・ファイルシステムとワークロード
2002 年 8 月 15 日(木)
11:00〜12:15(現地時間)

OSDL の技術スタッフである Randy Dunlap が、Linux 向けジャーナリング・ファイルシステムの特性の説明と比較を行い、さまざまなワークロードとシステム設定を使用した結果のドキュメントを提供します。Linux 向けジャーナリング・ファイルシステムの特性とパフォーマンスの問題点について、ファイルシステムのパフォーマンス解析で使用するツールや方法とあわせて議論されます。

LinuxWorld の会場で OSDL が関わっているセッションとその他の活動については、詳細を OSDL ウェブサイトの「イベント情報」ページに掲載します。

3. キャリアグレード Linux Technical Scope White Paper を公開

OSDL は、キャリアグレード Linux Technical Scope White Paper を公開し、キャリアグレード Linux ワーキンググループの全体的な見通しが述べられています。この White Paper は、ウェブサイトの OSDL CGL ページからダウンロードできます。

この White Paper では、OSDL キャリアグレード Linux の利点、OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループが目指しているもの、ならびにキャリアグレード Linux システムの要件とアーキテクチャの詳細が概説されています。また、拡張機能が必要と思われる分野として、高可用性、セキュリティ、OAM&P、パフォーマンス、スケーラビリティ、標準、ハードウェアインターフェース、ツールの 8 項目が特定されています。

このドキュメントは、OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループが目指している内容について知りたい方や真のキャリアグレード機能を Linux に追加するために必要な作業内容を理解したいと望む方にとって、すぐれた資料となります。

4. キャリアグレードLinux Requirements Definition V0.5 を公開

OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループは、キャリアグレード Linux Requirements Definition V0.5 を公開し、仕様についての批評や意見を求めています。このドキュメントは、OSDL CGL ページにてレビューすることができます。

このドキュメントでは、キャリアグレード Linux によって対応される技術的要件が述べられており、主に機能に対するニーズ、機能の強化ならびに各種の標準への準拠に重点が置かれています。また、多くの課題についても言及されており、今後のバージョンでは、セキュリティや可用性についても扱う予定です。

キャリアグレード Linux Requirements Definition V0.5 は、成長の著しい通信マーケットのニーズに合わせて、Linux を強化していくための重要なステップになります。通信とインターネット分野の急激な収束が進む中で、低コストで、カスタマイズ可能なパワフルなシステムを求める声が高まっています。Linux は、このようなニーズに応える当然の選択肢といえます。

キャリアグレード Linux Requirements Definition V0.5 についてコメントがある場合は、OSDL のウェブサイト www.osdl.org にアクセスしてください。

5. 開発者向けサイトを開設

OSDL は、開発者向けサイトを新たに立ち上げ、キャリアグレード Linux の開発者向けに開設しました。この developer.osdl.org サイトは、ニュースを掲載するほか、キャリアグレード Linux テクニカルワーキンググループの開発者ならびに高度なキャリアグレード機能を Linux に導入することに関心を抱いている方に、ビルド環境、コードのリポジトリ、バグデータベースやその他のリソースを提供します。

「developer.osdl.org の開設は、キャリアグレード Linux の開発にとって重要なステップです。と言うのも、開発作業が本格的に始まったことを対外的に示すことになるからです」と、OSDL の CGL ロードマップ・コーディネータである Mika Kukkonen は語っています。「こうしたサイトの開設が重要なのは、技術プラットフォームもまたキャリアグレード Linux の作成、検証ならびにバグトラッキングのプロセスを自動化を大いにサポートするからです」。

開発者は、キャリアグレード Linux、CGL ワーキンググループに参加する方法、メーリングリストに加入する方法について知ることができます。世界中の開発者にとってすばらしいリソースとなります。

6. STP の新しい Patch Lifecycle Manager(PLM)

スケーラブル テスト プラットフォーム(STP)チームは、自動検証ツールを、新たなパッチ管理システムを用いてさらに向上させました。

STP の従来のバージョンでは、検証者は OSDL の CVS ツリーから CVS のタグが付いた Linux カーネルを使用していました。検証者がカーネルの標準バージョン以外のものを望んだ場合、新しい CVS branch を作成し、変更を check in してタグを付け、次にそのタグを付けた branch を STP テストで使用しました。

新しいバージョンでは、新たに Patch Lifecycle Manager(PLM)を使用して、プロセスを大幅に簡略化します。検証者は、プレーンテキストあるいは暗号化されたパッチを電子メールで PLM システム(メールアドレス:)に送るか、OSDL STP サイト www.osdl.org/stp にあるメタデータタグを使用することができます。PLM はパッチ ID 番号を返すため、検証者は STP でのテストの設定時にこの ID 番号を参照できます。

STP は、PLM を使用して、カーネルを自動的に解凍し、PLM 指定のパッチを当て、パッチが当てられたカーネルをビルドしてブートし、選択したテストを実行します。STP は、これまでのように結果を後で参照できるように保存するとともに、電子メールで送信します。

「STP は、Linux 開発者にとって常に重要なツールでした」と、OSDL のラボディレクタである Timothy Witham は述べています。「今では、PLM を使用することによって、Linux カーネルのパッチと拡張機能のテストはさらに容易になりました」。

7. キャリアグレード Linux Validation Framework V0.5 を公開

キャリアグレード Linux Validation Framework の 0.5 バージョンが、OSDL によって公開されました。CGL Validation Framework V0.5 は、今後発表される OSDL キャリアグレード Linux の仕様に準拠しているかを検証する認証スイートを作成し、実行するための全体的な構造を規定しています。また、この最初のバージョンでは、この夏後半の公開が予定されている V1.0 ドキュメントの構成が説明されています。

CGL Validation Framework が完成すると、OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループの Validation サブグループは、フレームワークの内容を実装するとともに、キャリアグレードの信頼性と安定性(堅牢性)を検証する際に使用する認証スイートを、新規に、またはコミュニティですでに作成されたものを基に作成します。キャリアグレード Linux Validation Framework V0.5 は、http://www.osdl.org/projects/cgl/ でご覧になれます。

8. OSDL にキャリアグレード Linux ロードマップ・コーディネータを迎える

Mika Kukkonen が、OSDL キャリアグレード Linux のロードマップ・コーディネータになりました。Mika は、キャリアグレード環境と Linux の分野で豊富な経験を持っています。

Mika は、1995 年より Nokia Networks R&D ラボに勤務し、ISDN や SS7 シグナリングプロトコルスタックの開発などをはじめとする電話スイッチの設計と実装に関わってきました。1999 年より、キャリアグレード環境での Linux の使用法を研究しています。

「Mika は、OSDL やキャリアグレードワーキンググループのみならず、Linux の開発全体にとって得がたい人材です」と Timothy Witham は述べています。「OSDL のキャリアグレード Linux ロードマップ・コーディネータとして Mika を迎えることができて、我々は非常に嬉しく思います。」

9. Witham の言葉

このニュースレターからもご理解いただけるように、OSDL の活動は上手く進んでいます。キャリアグレードロードマップを策定するという約束を守り続けています。開発者向けのサイトを新たに開設し、キャリアグレード Linux Technical Scope White Paper を公開しました。また、Linux カーネル向けの開発者に開放されているスケーラブル テスト プラットフォームに、重要な拡張機能も加えました。さらに、私たちはオープンソースプロジェクトとの共同作業を継続し、キャリアグレードやデータセンタの機能を Linux に加える上で必要となる重要なハードウェアとインフラを提供していきます。OSDL のリソースを積極的に利用しているプロジェクトは 20 件を超え、ほかに、レビュー中ないしは OSDL との作業が完了して結果を分析する段階にある多くの刺激的なプロジェクトがあります。

しかし、OSDL が行っている作業は、強化機能を Linux にもたらすだけではありません。楽しく挑戦しがいのある仕事であり、これこそ多くのオープンソース開発者が求めているものです。今や、「列車に乗る」ときが訪れたのです。私たちは、過去数か月のうちに多くのことを成し遂げましたが、OSDL がこれまでに築き上げてきた勢いは、あくまでも始まりに過ぎないのです。今こそ、OSDL の活動に加わり、さまざまなやり方で貢献していただく絶好のチャンスです。キャリアグレード Linux ワーキンググループの活動への参加、興味深い新たなプロジェクトの提案あるいは STP の利用や強化であってもかまいません。

先に述べたように、これらは OSDL の始まりに過ぎません。私たちのミッションに基づき、これからの活動の中で打ち出す刺激的な取り組みと今後数か月のニュースにご期待ください。

 

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