OSDL ニュースレター - 2002 年 8 月 |
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目次:
- キャリアグレード Linux ワーキンググループ、新たな成果を発表
- OSDL、データセンタ Linux ワーキンググループを立ち上げ
- OSDL に新メンバーが加入
- OSDL、今週開催の LinuxWorld に出展
- OSDL ジャパンラボだより
- Witham の言葉
キャリアグレード Linux ワーキンググループ、新たな成果を発表
OSDL のキャリアグレード Linux(CGL)ワーキンググループは、「キャリアグレード Linux Requirements Definition V1.0」ならびに「キャリアグレード Linux Architecture Specification V1.0」を発表しました。今回公開された CGL Requirements Definition には、バージョン 0.5 に対する意見が盛り込まれています。バージョン 0.5 は、開発者コミュニティからの意見を求めるために、OSDL 開発者サイトにて公開されました。CGL Architecture Specification では、OSDL キャリアグレード Linux の仕様で詳細が決められる予定の枠組みが定義されています。
キャリアグレード Linux Requirements Definition V1.0 とキャリアグレード Linux Architecture Specification V1.0 は、それぞれのバージョン 0.5 が公開されてからわずか数週間後に公開されました。こうした迅速な対応は、キャリアグレード Linux ワーキンググループが迅速に作業していることを物語っています。この 2 つの仕様書は、Linux 向けに真のキャリアグレード機能を構築する上で不可欠な要素となります。OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループには、Alcatel、Cisco Systems、Ericsson、Force Computers、HP、IBM、Intel、MontaVista Software、NEC、Nokia、レッドハット、SuSE が参加しています。
OSDL、データセンタ Linux ワーキンググループを立ち上げ
LinuxWorld 会場のプレスカンファレンスの席上で、OSDL はデータセンタ Linux(DCL)ワーキンググループの創設、金融サービスへの取り組みの開始ならびにデータセンタ Linux の 2 つのドキュメントを発表しました。
「OSDL データセンタ Linux ワーキンググループの創設は、OSDL がオープンなデータセンタプラットフォームの要件を満たす Linux の技術を促進、開発する上で重要な第一歩になります」と、OSDL のラボディレクタである Tim Witham は述べています。「DCL と CGL のワーキンググループは、データセンタやキャリアグレードのマーケット分野の要件を満たすために、Linux を強化するビジョンとガイダンスを策定するフォーラムを提供します」。
データセンタ Linux ワーキンググループには、コンピュータ・アソシエイツ、富士通、HP、日立製作所、IBM、インテル、Linuxcare、ミラクル・リナックス、NEC が参加しています。このワーキンググループが最初に力を注ぐのは、金融サービスマーケット分野ですが、医療や製造業など他のマーケット分野も考えられています。OSDL データセンタ Linux ワーキンググループの詳細については、OSDL のウェブサイト www.osdl.org をご覧ください。
データセンタ Linux ワーキンググループは、キャリアグレード Linux とデータセンタ Linux の開発、統合および検証のためのリソースである OSDL の開発者サイト developer.osdl.org を活用します。現在、このサイトには CGL テクニカルワーキンググループの開発者がキャリアグレード Linux を共同で作り上げて行く上で必要となるコードリポジトリ、バグ・トラッキングシステム、ビルドシステムやその他のリソースがあります。データセンタ Linux の機能もこのサイトに追加されることになります。
OSDL データセンタ Linux ワーキンググループは、「Technical Scope White Paper」と「データセンタ Linux Requirements Definition V0.5」を発表しています。OSDL は、OSDL データセンタ Linux ワーキンググループの創設と同時に、Technical Scope White Paper とデータセンタ Linux Requirements Definition V0.5 を公開しました。
この White Paper では、最初のターゲットとなるマーケット分野とアプリケーション分野、取り組むべき技術的課題、標準準拠など、グループの取り組みの範囲が特定されています。このドキュメントは、www.osdl.org からダウンロードすることができます。
また、OSDL データセンタ Linux の利点、OSDL データセンタ Linux ワーキンググループが力を注いでいくテーマならびにデータセンタ Linux システムの要件とアーキテクチャの詳細がまとめられています。OSDL データセンタ Linux ワーキンググループが力を注いでいる事柄をさらに知りたい方、あるいは真のデータセンタ機能を Linux に加えるために必要とされる作業内容を知りたい方にとって、このドキュメントは貴重なリソースとなります。
OSDL データセンタ Linux Requirements Definition V0.5 は、OSDL ウェブサイト www.osdl.org に掲載されていますので、レビューしてコメントを寄せることができます。
「DCL Requirements Definition V0.5 は、DCL プラットフォームの要件が、分類されて優先順位の付けられたリストの形で定義され、機能性、強化項目ならびに標準への準拠といった目標を設定しているドキュメントで、今後、改訂を重ねて行きます。」と OSDL のラボディレクタである Timothy Witham は語っています。「Linux でデータセンタ機能を使用できるように OSDL が取り組んでいる作業における最初の重要なステップなのです。」
OSDL に、新メンバーが加入
Force Computers が IT 業界のリーダー企業に加わり、OSDL のスポンサーになりました。Force Computers は、今後、OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループの Alcatel、Cisco、Ericsson、Hewlett-Packard、IBM、インテル、MontaVista Software、Nokia、Red Hat、SuSE や Linux コミュニティのメンバーと共に作業することになります。Force Computers は、組み込み型システムとシングルボードコンピュータの世界的なリーディングサプライヤとして、オープンシステムのコンピューティング要件を満たす標準ベースのモジュールの提供に力を注いでいます。
「Force Computers が OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループに参加したことは、このグループで進められている作業の重要性を物語っています」と、キャリアグレード Linux ワーキンググループのロードマップ・コーディネータである Mika Kukkonen は語っています。「我々は、Force Computers の参加を歓迎しており、OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループの活動に貴重な貢献をしてくれることでしょう。」
OSDL、今週開催の LinuxWorld に出展
OSDL は、今週サンフランシスコで開催されている LinuxWorld の .org Pavilion に出展しています。ぜひブースにお立ち寄りいただき、OSDL のリソースを利用しているキャリアグレード Linux ワーキンググループ、STP、各プロジェクトの最新ニュースをはじめ、OSDL が進めている重要な作業状況をご覧ください。
また、以下のセッションで、OSDL および OSDL が行っている作業について詳しく知ることができます。
カーネル/クラスタトラック
OSDL キャリアグレード Linux ワーキンググループ
キャリアグレード Linux の定義
2002 年 8 月 13 日(火)
12:45〜14:00(現地時間)
ルーム 125
このテクニカルセッションでは、ワーキンググループが現在までに達成した業績を紹介し、キャリアグレードの可用性を実現するために Linux ベースのシステムをどのように構築するかについて、聴衆の皆さんと意見や考えを交換します。
データセンター向け Linux ロードマップ
2002 年 8 月 14 日(水)
10:30〜11:45(現地時間)
ルーム 125
ミッションクリティカルな機能を Linux に導入するために、OSDL のデータセンターワーキンググループによって策定された Linux のロードマップについて、それが企業の IT 組織にとってどのような意味合いを持つのかを含め、OSDL のラボディレクタである Timothy Witham が説明します。
Birds of a Feather セッション
OSDL キャリアグレード Linux テクニカルワーキンググループとの出会い
2002 年 8 月 14 日(水)
18:00〜19:30(現地時間)
ルーム 114
キャリアグレード Linux Requirements Definitions V0.5 を読み、それについて担当のワーキンググループと議論したり、ワーキンググループが Linux 向けに定義している機能強化についてさらに知りたい方は、OSDL の BoF(Birds of a Feather Session)をお見逃しなく!
ジャーナリング・ファイルシステムとワークロード
2002 年 8 月 15 日(木)
11:00〜12:15(現地時間)
ルーム 125
OSDL の技術スタッフである Randy Dunlap が、Linux 向けの 4 つのジャーナリング・ファイルシステムの特性の説明と比較を行い、さまざまなワークロード(ベンチマーク)とシステム設定を使用した結果を提供します。現在のジャーナリング・ファイルシステムの大半は、ウェブサイトやドキュメントにおいて、ファイルシステムの比較があまり行われていません。Linux 向けジャーナリング・ファイルシステムの特性とパフォーマンスの問題点について、ファイルシステムのパフォーマンス解析で使用するツールや方法とあわせて議論されます。
OSDL ジャパンラボだより
OSDL ジャパンラボでは、Linux Super Page Kernel や Samba などいくつかのプロジェクトが積極的に活動し、多忙な日々が続いています。また、OSDL のキャリアグレード・ワーキンググループとデータセンタ・ワーキンググループの活動にも貢献しています。
ラボディレクタである高澤真治は、横浜で開催された Linux カーネルシンポジウムや PC オープン・アーキテクチャー推進協議会(OADG)など、アジア地域におけるいくつかの重要なカンファレンスで講演を行っています。また、この夏には北海道大学でプレゼンテーションを行いました。
OSDL ジャパンラボの今後のイベントには、日本で 8 月末に開催される OSDN Linux Kernel Conference 2002、Linux Conference 2002 や香港 LUG(HKLUG)でのプレゼンテーションなどがあります。
OSDL ジャパンラボの活動の成果については、OSDL のウェブサイトをご覧ください。
Witham の言葉
今月は OSDL にとって多忙な月になりましたが、ラボでの開発にはとても感激しています。新しいメンバーを迎え、OSDL キャリアグレード Linux Requirements Definition とキャリアグレード Linux Architecture Specification V1.0 をリリースしました。OSDL データセンタ Linux ワーキンググループは、開設されていない段階でも、データセンタ Linux Requirements Definition V0.5 とデータセンタ Linux に関する White Paper を発表しました。
OSDL がこれまでに経験して来た勢い、とりわけ Force Computers のような新しいメンバーの加入に伴う勢いは、今後、加速して行く一方です。このことは、キャリアグレード Linux とデータセンタ Linux の開発だけではなく、こうした先端技術を開発、販売、展開する企業やエンドユーザにとって何よりの朗報です。
OSDL は、今後も Linux でキャリアグレード機能とデータセンタ機能を使用できるようにするという使命を果たして行きます。この活動に関心を持たれる方の参加を歓迎します。
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